元塾講師が、塾に通うことの意味を考えてみた

私は大学生時代、中学生を主な対象とした塾講師のアルバイトをしていた。

そこそこの人数を見ていて、何より生徒がどうやったら伸びるかを本気で考えながら教えていて、そこそこ評価も高かった。

ただ、生徒によっては、どんなにこちらが頑張っても、成績が伸び悩む子もいた…

私の力不足で伸ばしてやることができず、数年経った今でも申し訳ないと思っている。が、その生徒がなぜ伸びなかったかを考えてみると、ある共通点があったのだ。

伸びない生徒は、「塾に通う=学力が上がる」と思い込んでいた。普段何をしているか聞くと、大体ゲームしてるとか、テレビ見てるとか。家ではほぼ勉強をしていない子が多かったように思う。

元塾講師の私がこんなことを書いていいのかわからないが…塾とは、本来「生徒の勉強を補助するため」に通うものだと思っている。注意して欲しいのだが、「勉強すること」自体ではなく、「勉強するための補助」である。

こう思っている理由を書いていこう。

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塾の形態

私がアルバイトをしていた塾は、マンツーマンの個人塾だ。生徒が一人から三人に対し、先生が一人つくスタイル。

これについては、非常にやりやすかった。生徒がどこまで理解していて、どこからが分かっていないかを確かめ、そこを重点的に教えることができたからだ。また、その生徒の性格を考えて、「こういう勉強方法をしてみたら?」という提案もしやすかった。

集団授業では、なんとか追い付かなければいけないと焦ってしまう生徒も出てくる。なので、懐に余裕があるのであれば、個人塾がオススメだ。とはいえ、そのあたりは「何を目的として塾に通うか」によっても変わってくる。とにかく周囲も勉強している環境にいさせたい、というのであれば集団授業の方がいいだろう。

…まあ、ここまでは前座だ。問題はここから。

塾に通う目的

さて、なぜ塾に通うのだろうか。多くの人は、「学力を上げるため」と答えるだろう。もちろんそれは間違ってない。

考えて欲しいのは、そのもう一歩先だ。「どうすることで、学力を上げたいか」。ここが非常に重要になってくる。

想定される回答はこうだ。「勉強を教えてもらうことで、学力を上げる」。これも間違ってはいない。…のだが、私は少しずれている思っている。

どういうことか、解説していこう。

塾で勉強する時間

私の感覚だが、苦手な1~2教科を週に1コマずつ取るくらいの生徒が多かったように思う。1コマは50分だが、計算しやすくするため1時間とする。また、自習室等は使用しない。この前提で、週にどのくらい塾で勉強しているかを計算してみよう。

中学生の平均起床時間は6:30、就寝時間は約11時らしい。学校は部活動と下校時間も含めて8:00から17:30としよう。朝は支度などで時間がないだろう。また、食事や入浴等を合計して平日2時間、休日4時間。その他を自由時間としてみる。

これで計算してみると、中学生は平日は3時間半休日は12時間半自由時間があることになる。週換算すると、42時間半だ。

さあ、塾にいる時間の割合はどうだろう。週2コマの生徒は自由時間の約5%週1コマの生徒は約2%だ。思っていたより少ないのではないだろうか。

また、学校の授業も同じ教科が週に少なくとも3回以上はあるだろう。それを1回分の授業時間で取り戻せれば、そもそも苦労しない。

私の考える課題

そこが塾講師の腕の見せ所だろうと思われるかもしれないが、問題はそこではないのだ。

そもそも、塾に通うということは、多くの場合は「苦手な科目を克服するため」だろう。中には元々できるけどさらに伸ばしたいという子もいる。しかし、こういう子は、これから出す課題には該当しない。

何が課題なのかというと、「塾に来て勉強したことで満足」してしまう生徒が多いのだ。塾で勉強しているので、それだけで学力が上がると思い込んでいる場合が多い。伸ばしたい生徒は向上心があるので、これだけでは満足しないでいてくれる。

上にも書いた通り、ふつうの生徒は、自由時間の5%程度しか塾で勉強していない。他の時間も使ってもらわないと、いくら質を高めても限界がある

これへの対策こそが、本当の「塾講師の腕の見せ所」だと思っている。

私の考える本当の「塾に通う目的」

では、どうすればいいのかだが、言うのは簡単だ。他の自由時間も勉強するようにしてもらえればいい。大げさに言えば、ここでどれだけいい勉強をしてもらえるかが、そのまま塾講師の実力になるとも思っている。

言うまでもなく、勉強時間が増えればそれだけ学習できる幅や深さが大きくなる。それだけ学力が上がる。それだけでなく、効率的な勉強方法を教えることで、そこの効率も上げることができるだろう。これが完璧にできれば、その塾講師はヒーローだ。

では、なぜそれが難しいか。これも簡単。生徒自身にやる気がない場合が多い。「親に言われたから」とか、「周りが通ってるから」とかで通っている子がほとんどだろう。

そう、真の課題は、「本人のやる気」。実は、時間の制約はここが最も影響を受ける

今度は、起きている時間のうち塾にどのくらいいるかを計算する。すると、1日16時間半週では115時間半。このうち塾にいる時間の割合は1~2%だ。

普通に考えれば、生徒本人にとってはたったそれだけの時間しか一緒にいない、よく知らない大人の言うことより、もっと長い時間一緒にいる親や学校の先生の言うことの方がよっぽど信用できるだろう。いくら親が塾講師のことを信用していても、実際に授業を受けるのは生徒なのであまり意味がない。

で、そんな状態の生徒の心を動かし、勉強するよう説得するのは、並大抵では不可能だ。だからこそ、これができる塾講師がヒーローなのだ。

ではどうすればいいかだが…元々勉強のやる気がある状態で塾に行ってもらうのがベスト。というか、これこそが本来の塾の姿だと思っている。この状態であれば、事前に勉強して、わからないところをまとめて塾に持っていく、という形がとりやすい。こうなれば学力はグングン上がっていくだろう。

つまり、私の考える塾本来の目的は、あくまで「生徒が勉強する手助け」をすることだ。ここでの勉強がメインになってはいけない

まとめ

いかがだっただろうか。

とにかく、私が言いたかったことは「塾はあくまで生徒の勉強を手伝う場だ」ということだ。これを生徒本人に理解してもらえてないと、塾のメリットを活かすことができないどころか、塾に通うことで満足してしまい、勉強時間が不足してしまう可能性もある。

また、塾講師全員がこうなるように意識できているわけではない、というのも現実だろう。だからこそ、先に生徒本人のやる気を引き出しておいてあげることが重要なのだ。ここは是非、講師に任せっきりではなく、親御さんにもご協力願いたい

というわけで、次回は「どうやって生徒本人のやる気を引き出してあげるか」を私なりに考えていこうと思う。

次回の内容は、学校での勉強に限らないと思うので、是非読んで欲しい。更新情報はTwitterでも宣伝しているので、ページ下部のアイコンから私のアカウントを見てもらえれば幸いだ。

それでは。

塾講師をされている方へ

なかなか生徒の学力が伸びない。そういった悩みはとてもよくわかる。そのときは、自分の教え方を見直すのはもちろんだが…それだけではなく、生徒本人のやる気も確認してあげて欲しい。多分、やる気のない生徒が多いと思う。

そして、そのやる気を引き出してあげれば、みるみるうちに伸びていくだろう。よくCMでやっている「やる〇スイッチ」ってやつだ。そのスイッチを入れるためには、「なんで勉強するのか」がカギだと私は思っている。なんでやっているか分からないものほどつまらないものはない。

一つ、やってほしくないのは「やる気のないことを叱る」ということだ。自分の中学時代を思い出しながら生徒の言うことに共感し、「でもこんなメリットあるよ」と話してあげてほしい。

焦る気持ちはわかるが、一度、生徒と向き合ってゆっくり話してみてはいかがだろうか。

コメント

  1. […] 前回「元塾講師が、塾に通うことの意味を考えてみた」というタイトルで、私の思う塾本来の役割を書いた。その続きで「どうやったら生徒にやる気を出させるか」 を解説していくが、別にそれに限らない。社会人の方や勉強以外にも役立つ考えなので、参考にできるところはあるだろう。 […]

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