突然だが、皆さんは数学が好きだろうか。
私は趣味の一つとして数式をいじっている。
で、折角ならそれも記事にしてしまおうと思って、今回書き始めた。
今回は、自然数、整数、有理数、無理数の要素数について書いてみよう。
なお、プラグインのテストも兼ねているので、軽い気持ちで見てくれれば幸いだ。
そもそも自然数とか何だっけ?
という方に向けて。
まず、自然数とは、\(1, 2, 3, …\)と続いていく数のことだ。無限にある。
次に、整数とは、自然数に加え、\(0, -1, -2, -3, …\)と続く数。
そして、有理数は$$\frac{整数}{0以外の整数}$$で表される数。小数で言うと、有限小数と循環する無限小数(\(0.121212…\)とか、\(0.333…\)とか)だ。
最後に、無理数は、 $$\frac{整数}{0以外の整数}$$で表すことのできない数になる。小数だと、循環しない無限小数。円周率\(\pi\)や\(\sqrt{2}\)などがこれにあたる。
自然数と整数
まず、自然数と整数の要素数を見ていこう。
…厳密には、「濃度」という用語を使ったりする。
結論から書くと、これらの要素数は等しい。
何も知らない人からしたら、「はぁ?」と言われそうだが、証明できるのだ。
まず、証明する方針を。
自然数の要素と、整数の要素に1対1の対応が付けれたら、要素の数は等しいと言える。ここまではいいと思う。
では、実際に要素を対応付けていこう。(自然数:整数)という形で書いていく。
$$(1 : 0), (2 : 1), (3 : -1), (4 : 2), (5 : -2), …$$
こんなふうに、まずは自然数の1と整数の0を、次からは、自然数が増えるごとに整数をプラス、マイナスのように対応をつけることで、しっかり全部の整数に対応がつけられる。
よって、自然数と整数の要素数は等しいのだ。
ちなみに、自然数の要素数と同じ要素数の集合は、加算集合という名前がついている。
自然数と有理数
…勘のいい方はお気づきかもしれない。
これも対応付けが可能なので、同じ要素数になる。
どういうふうに対応づけるかというと…同じように(自然数:有理数)としよう。
$$(1 : 1/1), (2 : 1/2), (3 : 2/1), (4 : 1/3), (5 : 3/1), …$$
どうだろうか。有理数の並べ方には法則がある。
まず、分母と分子を合計し、その小さい順に並べる。
そして、同じ合計となるものについて、分母と分子の数を約分しながら調整しているのだ。
これで、有理数全部についても自然数との対応をつけることができる。
有理数も、加算集合だ。
自然数と無理数
さあ、ここまで来たら無理数も自然数と同じ…と思うだろう。
しかし、無理数については、自然数より要素数が多い。厳密に言うと、濃度が大きいのだ。
これを証明しよう。詳しく知りたい方は、「カントールの対角線論法」で調べてほしい。
まず、0から1未満の数で見る。ここに対応がつけられるのなら、あとは整数部分については、整数と同じ法則で対応がつけられるからだ。
次に、この証明では背理法を使う。つまり、無理数も自然数と対応付け可能だと仮定する。
そうすると、上まで書いていたような(自然数 : 無理数)の対応がリスト化できることになる。
括弧を省略して並べると、以下のようになっているイメージだ。なお、bはそれぞれ0から9のいずれかとする。
\(1 : 0. b_{1,1} b_{1,2} b_{1,3} b_{1,4} b_{1,5} b_{1,6} …\)
\(2 : 0. b_{2,1} b_{2,2} b_{2,3} b_{2,4} b_{2,5} b_{2,6} …\)
\(3 : 0. b_{3,1} b_{3,2} b_{3,3} b_{3,4} b_{3,5} b_{3,6} …\)
\(4 : 0. b_{4,1} b_{4,2} b_{4,3} b_{4,4} b_{4,5} b_{4,6} …\)
\(5 : 0. b_{5,1} b_{5,2} b_{5,3} b_{5,4} b_{5,5} b_{5,6} …\)
\(6 : 0. b_{6,1} b_{6,2} b_{6,3} b_{6,4} b_{6,5} b_{6,6} …\)
\(…\)
さて、背理法の仮定から、ここには全ての無理数がリストアップされているはずだ。
では、ここから新しい無理数を作って、矛盾を示そうと思う。
以下のような新しい数を作る。
$$\begin{equation}
c_{n,n} = \left \{
\begin{array}{l}
1 (b_{n,n} = 0, 2, 4, 6, 8) \\
0 (b_{n,n} = 1, 3, 5, 7, 9)
\end{array}
\right.
\end{equation}$$
これは、自然数1に対応している無理数の小数点第1位が偶数なら1を、奇数なら0を小数点第1位に置く。自然数2に対応している無理数の小数第2位が偶数なら1を、奇数なら0を小数点第2位に置く。というのを繰り返し用いて、新しい無理数\(c\)を作っているのだ。
さて、これは元のリストに存在するだろうか。
自然数1に対応している数とは小数第1位が異なる。
自然数2に対応している数とは小数第2位が異なる。
…というように、全てが最低でも1か所、必ず異なっている。
つまり、新しい無理数が完成したのだ。
さて、前提を思い出してほしい。そもそも、リストには全ての無理数がリストアップされていたのではなかっただろうか…
というわけで、矛盾が発生した。何がいけなかったかというと、全て対応できると仮定した部分だ。
背理法により、自然数と対応づけることは不可能。
よって、無理数の方が多いことが証明できた。
最後にクイズ
さて、上の対角線論法が理解できた方へ、一つクイズを出そう。
無理数で行った対角線論法だが、これは無理数という単語を有理数という単語に置き換えると、「有理数の濃度が自然数より大きい」ことの証明になってしまう。
しかし、上で説明した通り、本来は有理数は自然数と同じ濃度だ。
さて、有理数に置き換えると、どこがまずいのだろうか。
よかったら、考えてみて欲しい。
2020/10/19追記
クイズを出しておきながら、答えを書くのを忘れていた、申し訳ない。
というわけで、クイズの答えだ。
有理数だとまずいのは、新しく作った数\(c\)が、有理数とは限らない、という点だ。
小数で見た場合の有理数の条件は、上にも書いた通り循環小数であること。
しかし、上の法則で作られた数\(c\)が循環小数であるという保証はない。
よって、対角線論法の無理数を有理数に置き換えると成り立たなくなる。
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