前回の記事で、「箱に入る」…つまり、自己欺瞞とは何なのかと、それによる影響を説明した。
ここまでの内容は分かっていただけただろうか。
で、読んでくださった方は、こう考えているだろう。
「じゃあ、どうやったら箱の外に出られるの?」、と。
これについて、説明していこうと思う。
実は、もうすでに箱から出ている人もいるかもしれない。
復習「自己欺瞞とは」
簡単に説明しなおそう。この後でも使いたいので、具体例を交えながら書いていく。
あなたは、電車に立って乗っている。座席は全て埋まっており、横には大荷物の人。
そこで、あなたと横の人の前の席がちょうど1席だけ空いた。同時に、大荷物の人は周囲をきょろきょろしている。
このときのあなたが取る行動は、次のうちどちらだろうか。
- 先に座ってしまい、知らん顔する
- 「どうぞ」と譲るか、自分は座らないということを示すためにちょっと離れる
どうだろう。2を選んだ方は素晴らしい。
でも、一度1を選んだとしよう。あなたはそのときどう考えただろうか。
先に動いたのは自分だから問題ない?
大荷物の人って別にそんなに疲れてなさそうじゃないか?
そもそも、譲る義務があるわけではないだろう?
このとき、あなたは自己欺瞞に陥っている。あるいは、「箱」に入っている。
自己欺瞞とは、自分に問題があることについて、自分が気づけていない状態を指す。
この例では、本来譲るべきであろう場面で、自分が座ってしまった。
そこで、自分が座ったことの正当性を証明する根拠のため、ありもしないことを考えてしまうのだ。
先に動いたからなんてたまたまだ。
外見からだけで疲れは正確に判断できるのだろうか。
譲る義務がない、というのは譲らない理由にはならない。
といったように、周囲がゆがんで見えてしまう。
なぜこんなことが起きたかというと、「譲るべき」という自分の考えに裏切ってしまったからだ。
今回は、こんな「箱」から抜け出す方法を考えていく。
もう一つ、考えて欲しいこと
さて、解決編に入る前に、もう一つ考えて欲しいことがある。
上のような状況で自分が座ってしまったとき、あなたはその「大荷物の人」をどう見ていたんだろうか。
恐らく、「自分を正当化するための手段」として見ていた…つまり、「人として見ていなかった」のではないだろうか。
本来は同じ人であるはずなのに、自分を正当化するために、その相手を…極端な言い方をすれば「モノ」として見ていたわけだ。
じゃあどうすればいいのさ
となるだろう。
では、改めて例を見よう。
あなたは席に先に座り、我が物顔でいた。後で思い返してみると、どんな気持ちになるだろうか。
ちょっとスペースを挟むので、考えてみて欲しい。
そろそろいいだろうか。
ここで、「申し訳ないことをしたな…」と考えた方、おめでとう。「箱」からの脱出成功だ。
どういうこと?
順を追って説明しよう。
まず、そもそもどのタイミングで「箱」に入ったのだろうか。
大荷物の人が疲れてなさそうと思った瞬間?いや、違う。
先に自分が座った瞬間?もうちょっと…
譲るべきと考えたが「いや…座ってしまえ」と思った瞬間?そこだ。
そう、自分の考えに裏切った瞬間に、その人は「箱」に入る。その結果として、そういう行動をしたり、その根拠を探したりしてしまうのだ。
つまり、行動を起こす前には、すでに「箱に入って」しまっている。
ということは、この「箱」というものは、行動よりも深い位置に存在している。
よって、行動によってその「箱」から脱出しようとしても、うまくいかない。
なぜなら、「箱の中」にいる時点で、その行動はすでに「自分を正当化するため」に行われるものだからだ。まさに自己欺瞞に囚われている。
と、いうことは…だ。行動を起こす前の段階、つまり「考え」の段階で手を打たなければならない。
「箱」から脱出するために
では、何を考えなければいけないか。
言ってしまえば簡単だ。
「自分は、箱に入っているのだろうか」だ。
つまり、「自分は本当に正しいのだろうか」ということを考えればいい。
上で、「どんな気持ちになったか」と聞いた。ここで、「申し訳ない」と思った方は、自分が間違っていたと「認識」できたことになる。
この瞬間、大荷物の人のことを「モノ」ではなく、しっかりとした「一人の人」として感じたのではないだろうか。
それは、「無意識に間違っていると思い込む箱」から脱出できたということだ。そしたら、あとはその思いのまま行動するだけだ。
ここで重要なのは、そのときに再び「箱」に入ってしまわないこと。ここで折角「箱」から出れても、次同じ場面ではまた「箱」の中ということもある。
そのためには、何か他の人のためにしたいと思ったことを、思ったまますればいい。そうすれば、矛盾が発生せず、「箱」に入らなくて済む。
まとめ
いかがだっただろうか。かなり難しい話なので、一回で理解しきるのは相当困難だろう。
まとめると、以下のような感じだ。
- 人は、自分の考えに背いたとき、「箱」に入る。
- 「箱」に入ると、自分の行動を正当化しようと、周囲を歪んだ目で見てしまう。
- 時に、人を攻撃したり、相手を陥れることで正当化しようとする。
- また、相手をも「箱」に入れてしまい、互いに攻撃する「共謀」を引き起こす。
- 解決のためには、今一度自分が「箱」に入っていないか考え、自分の問題を認識する。
- 再び「箱」に入らないためには、相手にしてあげようと思ったことをそのまましてあげる。
この記事の内容を読んでも理解できない人は、是非この本を読んで欲しい。全てが解説されている。物語調なので読みやすいだろう。
この記事をきっかけに、一人でも多くの人が「箱」から脱出できるよう、祈っている。
コメント
コラム拝見いたしました。
箱って関数のように思えて、自分の心次第で答えが決まるといいますか。。
脱サラして箱に閉じこもり10年ですが、会社員の頃は大きな箱の中で同調してました。
間違いも多いですが、せめて自分に正直な結果を出したいと常日頃考えています。